医療人は病気である患者様の心情を察して、通常、あえて口にしない事実があります。
それは、「人間の身体は平等には作られていない」という厳然たる事実です。遺伝子レベルでの個体差は皆様の 想像以上に大きく多いです。この違いが体質の違い、歯並びの違い、虫歯のなりやすさ、歯周病のなりやすさ、それらの症状、経過、治療に 対する反応等の違いの原因の一つだと思います。
一般の方が医療を語る場合
どうしても自分や家族や知人を中心とする狭い範囲の人々の 体験談からの結論になりがちです。しかし、「少ないサンプルから導き出された結論」=「仮説」=「単なる思い込み」である場合も多いのです。大きい母集団から無作為に抽出した大量のサンプルを検証し仮説を証明して始めて事実と認められるのです。
人々の感情、多数決、新聞の社説や世論等では科学的事実は変化しません。
ガリレオが地動説を唱え、それを理由に有罪判決を受けたり、メンデルが「メンデルの法則」を発表しても当時の人々はこれを無視。35年後 (メンデルの没後16年)の1900年になって、ようやく様々な国の研究者によって再発見されたりといった話は広く知られています。
このように昔から難解な科学的事実はその時代の並の専門家でも理解が難しく、一般の人々の常識に反する場合が多いのです。